鋳
鍛
彫
漆
箔
房
心・技
各部の名称
竹でできた一本の箔箸(はくばし)、これが箔押師(はくおしし)の道具といえるもののすべて。

imageimage

この箔箸が箔押師の手に納まると、道具というより指の一部であるかのような錯覚を起こさせる。

image 「フゥー」とした吐息にも宙に舞い、形が崩れる金箔を瞬時にして一枚掴む、と同時に小札板に押される。波打つ小札板の山の部分と窪みの部分に、形を崩さず均一に箔を押すことができるようになるまでに十年。気の遠くなるような単調で緊張の連続ともいえる修業を経てきた箔押師にはいい知れぬエネルギーを感じさせられる。

箔押師は、塗師と密接な関係にあり、上物になるほど、その間の往復が多い。
漆、箔、白檀縅、箔といった具合である。

箔押師の周囲を見廻すと、舞い散る金粉のためにあらゆるものが金色に輝き、箔押師自身の指も金色に染まっていた。